のんびりゆるくいこう

日々の日記です

百田尚樹さんの小説、「野良犬の値段」を読みました。物語中にホームレスの人が放った、「人間っていうのは、住所を失ったら、もう終わりなんだよ。」っていう言葉に考えさせられましたねえ。

こんにちは。
ヨウです。


先日、百田尚樹さんの小説、「野良犬の値段」を読みました。

6人のホームレスが誘拐される。
残念ながら社会的地位や人との繋がりが低い彼ら。
誘拐したところで普通は身代金を払ってくれるような人はいない。
しかし、この誘拐犯は意外なところに身代金を要求する。
そして誘拐犯と身代金を請求された人たちとのかけひきが始まる。


簡単にいうとそんな感じの話です。
いやあ、面白かったですねー。
最初からそれなりに面白かったんです。
けどけど、後半になるにつけグイグイ引き込まれた。
いい年してハラハラドキドキがとまらない。
久しぶりに感情が揺さぶられました!


物語のクライマックスにかかったのが、夜も遅い時間。
明日も仕事だし、そろそろ寝ないとやばい。
やばい、やばい、やばいー。
そう思いながらもやめられないとまらない。


あー面白いー。
続きが気になる―。
もうイジワル―。
それでも、やめられないとまらない。
で、結局、気が付けば半徹夜。
やっちまったーと思いながらも、幸福な時間でしたあ。
次の日の仕事は地獄でしたが(笑)


まあ、読書好きの人なら結構あるあるですよねー。
カラダはきついんですが、幸せいっぱいです。
いわゆる徹夜本ってやつです。


僕の経験だと池井戸潤さんの本は徹夜本が多かったです。
ドラマ、半沢直樹や下町ロケットの原作者ですねー。
池井戸さんの本はほぼすべて読んでますが、毎回、やめられない止まらないでうれしい悲鳴をあげてました。
幸せな時間だったなー。


さてさて、「野良犬の値段」。
ストーリーはネタバレになってしまうので伏せておきますが、僕が気になったのはホームレスの人たちの素性ですねー。


さすがに今の日本で生まれた時からホームレスって人はなかなかいない。
そんなわけで皆さん元々は普通の生活を送っていた。
それがどこかで道を踏み外し今の境遇になったわけです。


その中のひとり。
40代後半のAさんは勤めていた会社がつぶれてしまった。
業界では準大手の企業の部長職だったAさん。
自分なら再就職先はいくらでもあると思っていた。
しかしその見込みは甘々だった。


40代後半の手に職がない人間を簡単に雇ってくれる会社はなかなかない。
家族にお金がかかる年代でもあり、気が付けば借金まみれに。
そして流れ流れてホームレスに。


ホームレスになってからも仕事探しは続けていた。
警備員やコンビニのバイトなら雇ってもらえるかもしれない。
そう思って面接に行っても、住所欄が空白の人間を雇ってくれるところはない。
そして結局、ホームレスから抜け出せなくなる。


「人間っていうのは、住所を失ったら、もう終わりなんだよ。」
そんなAさんが放った一言です。
なかなか身につまされますね。


小説なんでもちろん作り話です。
でも、あの百田さんがまったくの取材もなしにデタラメを書くとは思えない。
当然、現実にもありえる話でしょう。


僕も40代後半。
両親は他界しているため、いわゆる実家はありません。
そして今は賃貸暮らし。
そしてそして、このアパートは定期借家契約ってやつで、2年ごとに契約更新があります。
つまり2年ごとに無職かどうかのチェックがある。


そのチェックの時に働いてないと契約更新はできない。
仕事を辞めたり、クビになったり、会社がつぶれたら、もうこのアパートには住めない。
そして追い出されても実家があるわけじゃない。
つまり、住所がなくなる。
住所がなくなる。。。
うげえ。
恐ろしや―。


Aさんの境遇はぜーんぜん他人事じゃない。
明日はわが身なわけです。
うーん、身につまされますねー。
コワイコワい。


僕は一応資格職なんで、仕事がないってことはないだろう。
心のどこかでそう思ってる。
けど、これってAさんが
”自分なら再就職先はいくらでもあると思っていた”
って考えてたのと変わらないですよねー。


いざ仕事探しをしてみたら、現実は全然違った。
自分のことを過大評価していた。
そうなる可能性は十分あります。
コワイコワい。。。


無職になったらアパートには住めない。
そしたら住所がなくなる。
住所がなくなったら、仕事探しもできない。
仕事がなかったらアパートも借りられない。
これって、無限地獄??
どうしろっていうんでしょう。


会社が倒産したり、クビになるのは自分ではどうしようもない。
けど、転職したり辞めたりするときは、住む場所のことも慎重に考えて動かないと痛い目にあいそうですねー。
気をつけよっと。


さてさて、そんなホームレスの人たち。
彼らを語るとどうしても暗い話になりがちです。
けどけど。
この小説の中では大・大・大活躍です。
おー、すげえ、やれやれって感じ(笑)
ぜひ、読んでみてハラハラドキドキしてください。


それでは最後までお読みいただきありがとうございました。